17

暗闇は怖い―――――


あの時感じた胸の痛みでそう思っていたのだろうか

今は何故か、安心するんだ
自分の居場所は元々ここだったかのように

懐かしい――――――


その思いで胸がいっぱいだった


ただそれに気ずけば気ずくほど、君の元に帰りたいという思いも湧いてくる

君の傍は自分でいられて安心するんだ

今の此処は懐かしくて安心するけれど、自分じゃない何かに乗っ取られそうな恐怖もある


矛盾している


安心しているのに恐怖を感じるなんて

君の傍ではそんなこと感じた事もない

ただ安心できて、傍にいるだけで幸せで・・・・

君が笑ったら嬉しくて、俺が君を笑わせられたらもっとうれしくて・・・・
あぁ、考えだしたら止まらない
それほどまでに君を想ってる
もし、此処と君の傍、どっちかをとらなくてはいけないとき

俺は迷わず
君の傍をとるだろう


***

揺すられてる感じがする

何だと思い目を開けるといたのは―――――

『ラ、ビ・・・?』

掠れて声が出ない
君の名をちゃんと呼びたい
俺が安心できる居場所を造ってくれた君の名を呼びたい

『っぁ、ラビ!』
「どうしたんさ!?
いきなり飛びついて」

夢にまで見た君に今会えた




「にしても、さっきは驚いたさ〜
晃也がいきなり抱き着いてくるから」

『ご、ごめん』

俺達は今アレンの病室に向かっている


あの後いきなり飛びついたから、俺の身体がベッドに逆戻りしてしまった


少し、そこで話してたんだけどアレンの病室に行こうとなり、今に至る


話したい事がありすぎて何から話していいか分からない・・・

あ、でもあの暗闇の事は言わないでおこう

心配させたくないし・・・

「お?此処か?

オーイ、晃也着いたさ〜」
『はっ!
もう着いた!?
わりぃ、考え込んでた』

考え込んでたらアレンの病室に着いたらしい
つー事は今まで無言で俺達歩いてた・・・?
何という失態・・・!

「ラビ、晃也君
誰も入ってこないように見張っててよ」
「ヘーイ」

言った傍からやってしまったぁぁあ!

冷静になれ自分
落ち着くんだ

ラビと会えたからって浮かれてるんじゃない

「コムイさん!?
え?
ここどこ?」
「ここ?
病院だよ」


ふと、アレン達を見るとアレンが起きていてコムイがドリルを構えているシュールな絵だった

その後一旦コムイはドリルを置いて話し始めた

「街の外で待機してたファインダーから「街が正常化した」との連絡を受けたんだ

任務遂行ご苦労だったね」
俺達が倒れた後の事をコムイがアレンに説明している
アレンはまだ俺達の存在に気づいてないらしい

「街が・・・!?」
「ミス・ミランダもさっきまでここにいたんだけどスレ違っちゃったね」
『ミランダいたのか・・
挨拶ぐらいしときたかったんだけど・・・』

もう少し早く病室出ときゃあよかった
ボソッと呟くとラビに聞こえたのか、頭に手を置かれてクシャリと掻き混ぜられた

「てか、コムイさんは何でここに・・・」
「もちろんアレンくんを修理しに」
「・・・・・・マジで?」

アレン・・・
顔が終わってるぞ・・
そんなに嫌か、コムイの修理

「実はね、これから君達には本部には戻らずこのまま長期任務についてもらわなきゃならなくなったんだよ
詳しい話しはリナリーが目覚めた時一緒にする」

まだ、リナリーは目覚めてないのか
だからこんなにもコムイが静かなのか

「!
リナリーはまだ目覚めて・・・・・・・・!?」
「神経へのダメージだからね・・・でも」
「大丈夫っしょー
今、うちのジジイが診てっから

すぐ、もとに戻るよ」

言いたくてうずうずしてたラビがここぞとばかりに、口を挟んだ

なんだかんだ言ってラビはブックマン好きだよなぁ


「ラビっす
ハジメマシテ」
『よぉ、アレン
元気か?』

ラビが挨拶したから、俺もしたんだが変か?

「・・・はじめまして

って晃也!?
動いて平気なんですか!?」
『ん、まぁ大丈夫』

和気あいあいと話していたらコムイが思い出したように言った

「そうそう、アレンくん、晃也君

ミス・ミランダから伝言を預かったよ」


【アレンくん、晃也くん、リナリーちゃん
目覚めるまでいられなくてごめんなさい

私が時計のイノセンスを発動したあの日から街はなぜか奇怪が解けました

街の人達は34回も10月9日が来たことなど全く知りもせず、まあ、私が原因だったのだからその方がありがたいのですが

さんにんは時計が奇怪を起こしたのは私の心に反応したからだと言っていたけれど

今、こうして思うとあの奇怪は時計が私を試すために起こした気がするの

おかしいかしら
こんな考え

だって時計は私がアレンくんを庇うあの時までずっと黙ってたんだもの

でも
おかげで、やっと自分の居場所を見つけられた気がする

また
会いましょう

今度はエクソシストとしてお役に立ちます】



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