13

「・・・目レロろーとタマ学校サボって勝手なことしたら伯爵タマが困るレロ」
誰かが喋っている声で意識が浮上した

「うっさいなあ
傘は黙ってろよ」

誰だ・・・?

「ねえ お願い・・・
私を解放して・・・」

この声はミランダ・・・
俺どうしたんだっけ?

確か、ミランダとアレンのチケットを売るバイトの調子を聞きに行って、それから少し昔話をしたんだ

そんで、アレンがチケットを買いに来た女の子を案内しようとしたら売り上げがスリに盗られ・・・

あぁ、全部思い出した

「死んだら解放してやるよ」
物騒な言葉が聞こえて立ち上がる

『っさせるかよ』
「あっ!おにーさん起きたんだ!

皆まだ起きなくて退屈してたんだぁ〜」

何を言っている?

回りを見てみると、リナリーが着せ替え人形のように着替えさせられ、アレンは発動状態の左腕に杭を打たれていた
俺は手に杭を打たれたミランダの横で倒れていたらしい

何故・・・?
一人の少女のここまでの事をやられている?


よそ見をしていたら、いきなりアクマに攻撃をされた
『危っね!
てめぇ、何すんだ
服の前がボロボロになったじゃねーか』

風を操るアクマに攻撃をされて服の前がボロボロになってしまった
しまいには、痣を隠す為に巻いていたさらしまでも切れて痣が見えてしまっている

「ねぇ、その胸のやつ痣?それとも、入れ墨?」

少女が目を細め問うてきた

『てめぇに教える義務なんてねぇ』
「僕、それと同じ痣持ってる人知ってるんだぁ
その人痣の事を前世からの呪いだって言ってた
ねぇ、お兄さんのそれは呪い?」

そう言い、女の子は目にも留まらぬ速さで俺の前に来たと思うと痣を触った
触られた途端視界がぐにゃりと歪む

しかも、頭の奥から何かを思い出そうとする感覚に吐き気がする
立ってられなくて膝をついた

「やっぱり、痣だ
ねぇ、この痣どうしたの?もしかしてお兄さんは“レクア”の生まれ変わり・・・?」


その言葉を最後耳にして俺は目を閉じた


***

猛烈な痛みで意識が浮上した
目を開けて辺りを確認しようとしても何も見えない

手先が見えない
それはおろか、身体がそこにあるという感覚すらない
が、その恐怖を上回るような痣があったであろう部分の熱を持ったような痛み

苦しい苦しい苦しい苦しい痛い痛い痛い痛い痛い痛い熱い熱い熱い熱い熱い熱い怖い怖い怖い怖い怖い怖い


助けて助けて助けて助けて

『た、・・・すけ、て・・

助けて・・・
”  “・・・・・・・・・・・・』

音になったか分からない程の声

突然暗闇の中に-光-が顕れた

その-光-は最初は身体の2倍もの大きさがあったが
だんだんと-光-は小さくなっていく

『待、・・・って』

手を伸ばそうとして気づく
身体の感覚がない
動かそうとしても手がどこにあるかすら分からない
自分がどうやって手を動かしていたかすら思い出せない

もう、ダメだ・・・
と絶望しかけた時

-光-が弾け、俺の視界を覆った
-光-の強さに目をギュッとつぶる



-光-はしばらく光続け急にフッと消えた


遠くで話し声が聞こえる
目をうっすら開けるとそこは、今よりもずっと昔の町並み

『・・・え、何が起こったんだ・・・?』

目を手で擦った
そこで手の感覚があることに気づく

『手がある・・・
動かせる・・・!』

安心して地面に座り込んでしまった

目の前には、子供達がボールで遊んでいる
そのボールがこっちに転がってきた
取ってあげようと立ち上がりボールを取る
が、ボールが取れない
手がボールをすり抜けるのだ

『え・・・?』

子供達がこっちにボールを取りにきた
俺の方がボールに近いのに声を掛けてこない
あまつさえ、こっちに突進してきた
これから来る衝撃に堪えようと目を閉じた

一向に衝撃がこない
目を開ければ、普通に子供達がボールで遊んでいる

『すり・・・・抜けた・・・?』

確かめようと、子供達を触ろうとする

やっぱり、触れない
俺は、ここにいる人達に触れない・・・?
俺の実体がない…?

声を掛けても誰も振り返らない
俺はその場で膝を抱えるようにしてうずくまり、膝の間に顔を埋めた

前にも、こんな事があった気がする
まだ、教団に入ってないとき・・・
俺は忌み子として、親に捨てられた
周りの大人も、子供も俺を無いものして扱った
毎日が死にそうな程苦しくて、悲しくて・・・
ある時、子供たちが今みたいに遊んでたんだ
俺が一緒に遊びたいと勇気を出して言った
だけど、そいつらは何事も無かったかのように遊び続けてた

『誰か俺に気づいて・・・
俺の名を呼んで・・・』

遠くで誰かを呼んでいる声がする
その声がなぜだかとても懐かしくて・・・
俺は顔を上げた
誰かを探していた人は探し人が見つかったらしい
声が弾んでいる

「やっと見つけた!レクア!何処行ってたんだよ?」
「別に、、、
ただ、こっちに懐かしい感じがしただけ
だし、” “は俺がいなくても関係ないだろ?」

探し人はレクアというらしい

だけど、俺が懐かしいと感じた男の方の名前が聞き取れ無かった
だって名前の部分だけ靄がかかったような声になったから

でも、あのレクアっていう人俺に似ている感じがする
雰囲気とか、喋り方とか
些細な事が似てる気がする

『レクア・・・』

名前を呼んでみたらしっくりと身体に馴染んだ

まるで、それが俺の名前なのかのように
俺が名前を呼んだ途端#レクアさんがハッとした顔をして、辺りをキョロキョロしだした

バチッ―――

目がおもいっきし合ってしまって勢いよく目を逸らした

レクア・・・さんが目を見開き、こっちに向かって来た
どうせ、見えてないと安心していたらレクアさんが目の前で止まった

「なんで、お前がここにいるんだ!?」
『えっ、・・・?』
「なんでここにいるのかを聞いてるんだ!
同じ魂が一つの世界に二つにあるなんて・・・
ありえない」
『えっと、なんか女の子に痣があるところを触られたらここに来ていた・・・んです』

レクアさんはまた目を見開き呆然としていた

「あの・・・?』
「・・・そうか
じゃあ、お前は
元の世界に戻りたいか?」




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