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人は皆一度はこう思ったことがあるのではないだろうか

「この時間が一生続けばいいのに」

あるいは、

「もう、明日なんて来なくていい」

等と、


俺も一度や二度じゃない位考えたことがある
だが、その先に行き着いたのだ

『歓喜、怒り、哀み、絶望それは一時的なものに過ぎない
そして、その一時的なものを身体と心で感じることが出来るのは人間の特権なのだ』

ということを



端的に言えば

『その時の感情に捕われず逆にそれを生かし先に進んで行け』

なんとも、軽快で愉快なものだろう


だが、人は皆これに気がつかない





呪いを持つ忌み子として親に捨てられ、


友だと思っていた人間からは迫害を受け


終いには、


神の使徒という残酷な運命を突き付けられた


‐俺‐が


理解したというのに



***

何故、こんな勿体振った言い方をするのかというと、今の俺が置かれている状況が余りにもそれに酷似しているからである

「イノセンスはどこだ・・・?」
「その女性を放して下さい
こんばんはAKUMA」
『ほら、放せよ?
エクソシスト様のご登場だぜ』

チュドーンといいながら、アクマは壊れた
にしても、さっきの人逃がしちゃったけど、大丈夫か?

『アレーン、さっきの人逃げちゃったけどどうする?』
「うーん、そうですね
まずはリナリーと合流しましょう」

じゃあ、まずはリナリーとの待ち合わせ場所に行くか

アレンの手を握って

そう、アレンはとてつもない方向音痴なんだよ
手握ってなきゃすぐにはぐれてしまう
この歳で手繋ぐとか少しハズい

リナリーとの待ち合わせ場所に行くと先にリナリーが来ていた

『あれ、もう着いてたんだ待った?』
「ううん、大丈夫!
今来た所だから」
『そう?よかった』

アレンが付き合ってるんですかとか言ってるのなんて聞こえない、聞こえない
とりあえず、席に座って逃がしちゃった人の事を話してんだけど

「ヘッくしょい!!」
『ぶっ、アハ、大、大丈夫か?アレン、、アハハ!
あー、面白い ククッ』
「これは何?アレンくん!」
「・・・すみません」

アレンが描いた逃がした人の絵がめっちゃウケる
もう、人じゃなくなってる

「すみませんじゃないどうして見失っちゃったの」
「すごく逃げ足早くて・・・この人
でもホラ似顔絵!こんな顔でしたよ」
「似顔絵・・・?」
『似顔絵・・?アハ、
こ、これを、似顔絵って言っていいのか、グフッ』
「あれ・・・?
変ですか?」
「うん変・・・

でもこんなことなら二手に分かれずに一緒に調査すればよかったね
昨夜退治したアクマ・・・確かにその人に「イノセンス」って言ったの?」
「はい」
『それは確かだぜ
ちゃんと聞いた』

つーか、迷子になったアレンをやっと見つけたと思ったらその声が聞こえて大変だった

「道に迷って路地に入り込んだら偶然見つけて・・・運が良かったです
たぶん今回の核心の人物だと思いますよ」
「アレンくん今度から絶対一緒に調査しよう

っていうか、晃也!何で、あなたもいながら逃がしちゃったの?」

アレンに怒っていた矛先がこっちにきた

『いや、でもなぁ、アクマ倒す時めっちゃ砂埃が舞ってて見えなかったんだよ』

それなりの言い訳をできたと思うんだが
冷や汗をかいていると、アレンが助け舟を出してくれた

「リナリーの方はどうでした?」

助かった
リナリーは怒ると怖いからな

「んーーー・・・
コムイ兄さんの推測はアタリみたい
アレンくんと晃也とこの街に入った後すぐ城門にひき返して街の外に出ようとしたんだけど

どういうワケか
気づくと街の中に戻ってしまうの

ちなみに街を囲む城壁も何カ所か壊して出られないか確かめたけどダメね

穴から外に出たと思ったら街の中の元の場所に戻されてた」




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