Fight rhapsody | ナノ




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「お父さんとお母さんの所に帰ってきなさい」

憎んでいた父親のその言葉に、縋り付いた罰なのか。


第一話


祖父母が死んで、数ヶ月がたった朝。

「んぅ〜…」

大きな天蓋付のベッドから、小さな呻き声がする。むくりと起き上がったのは少女だ。
見事な金色をしたボブヘアーは所々はねており、橙色の瞳は未だ寝むたげに半分閉じていた。やがて、彼女付の侍女が彼女の名を呼び、意識の覚醒を促す。

「ソリア様、もうすぐ朝食のお時間でございます」
「は…い…も、もう起きます…」

眠たげに答えながらも少女、ソリアはベッドから出る。12月の朝は冷えるというのに侍女達が付けてくれた暖炉のおかげで寒さを感じるかと言われればそうでもない。侍女が用意してくれた服を身に纏い、髪のセットをしてもらっていた。
ソリアの世話を積極的にしてくれる侍女は彼女と同い年のサリィという。ソリアの着飾らない性格とサリィの柔軟な思考で、二人は身分は違うがこの屋敷で一番の親友となった。
侍女などと仲良くなるなどと批判していた父親を跳ね退けたのは彼女の義理の母だった。

「ソリア様の髪の毛はとっても梳かしやすくて助かります」
「えー?そうかなあ?わたしはサリィの髪の毛好きだな、柔らかいし綺麗だし編みやすいし」
「い、いえ…ソリア様には敵いません」

栗色のおさげを見やりながらサリィは恥ずかしそうに笑う。

「いっそおさげ止めて下ろしたままにしたら?髪の毛がウェーブして可愛いかも」
「それだとご奉仕の邪魔になってしまいますよ?」
「うーん…そうか…じゃあショートウェーブは?」
「…ソリア様が似合うと言ってくれるのなら、今度切って見ようかしら?」
「うん、そうしなよ!そのときは私にセットさせてね?」

はいと頷いたサリィとえへへと笑ったソリアに、別の侍女が朝食の準備ができたことを告げた。



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