Fight rhapsody | ナノ




3

町の一角の洋服専門店にて。

「ディーダディーダ!これは?」
「いいですねぇ、とてもよくお似合いですよ。かごに入れちゃいます?」
「え・・・でももう10着も・・・」
「まだ10着、ですよ」

通帳のあの額を思い出してそっかと納得し、今しがた試着した服をかごに入れる。
ソリアをモデルにプチファッションショーが繰り広がっていた。あれやこれやと服を選ぶ二人は傍から見たら少々年の離れたカップルに見えないこともない。店の外で待っていたカインヴァルツは面白くないと言わんばかりに煙草の吸殻を落とし踏みにじる。
しかしカインヴァルツのことなぞ知らない二人は笑いながら服を選んでいた。

「ソリア嬢、これとかいかがです?」
「可愛い!でも似合わないでしょ?
「とんでもない!とても良く似合ってますよ。それにお嬢さっきからズボンばっかじゃないですかい」

ディーダはかごの中に入っている服をちらと身、シンプルなワンピースを一着入れた。

「こういうのは一着持ってるといざって時に役に立ちますよ」
「いざ?」
「んー、デートとか?」
「で!?」
「ぶっ、そ、そんなにきょどらんでも・・・」

デートと言う一言に顔を真っ赤にしたソリアにディーダは思わず吹き出す。
こども扱いされたとソリアが頬を膨らませる。それをなだめるようにディーダは次の服に手を伸ばした。

二人が店から出たのはそれから三時間後のことで、外で待っていたカインヴァルツの足元には大量の吸殻と煙草の空箱が3箱転がっていた。




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