Fight rhapsody | ナノ




2

外に出てみると、そこは結構普通の町だった。人々がい機会、売店や屋台が立ち並ぶ。大型の道路だというのにたくさんの歩行者で賑わっていた。車は少ない。

「大きな町・・・」
「ああ、そういえばソリア嬢は気絶してましたからねえ」

のほほんと会話をするソリアとディーダをよそに、カインヴァルツは好きなく辺りを警戒している。
ソリアはともかく、そのことをちゃんとわかっているディーダは警戒を解いていた。ソリアを悪戯に緊張させたくないのだ。

「さてソリア嬢、まずはお洋服から見繕いましょうか。その恰好はいささか目立つようですし」

その恰好、とディーダが指差したのはカインヴァルツの黒いコートだ。
ワンピースのように見えなくもないがぶかぶかでみっともないのは否定できない。

「そうよね、カインヴァルツにコート返さなくちゃいけないし」
「ソリア嬢はどんなお洋服がお好みで?この街には衣服専門店が3件ありますが」
「うーん・・・気分にもよるのよね・・・たくさん服持ってたし」
「ではほしいもの全てお買い上げしちゃいますか。持てないのなら宅配を頼めばいいですし」
「えぇ!?でもわたしお金持ってないよ?」
「大丈夫ですよ、俺が払いますんで」
「で、でも・・・」

ためらうソリアにディーダは謙虚なことはいいんですがと言いながら徐にポケットから通帳を取り出す。へ?という顔をしたソリアに最新の頁を見せる。すると声もなくソリアの両肩が跳ね上がり、その顔からさーっと血の気が引いて行った。

「こんな額生きているうちに使い切れる気がしないのでソリア嬢に手伝ってもらいたいんですよ」
「・・・信じらんない」

けろりと言ってのけたディーダに軽く眩暈を感じながら、ソリアはふと彼がいくつなのか気になった。

「あなたいくつなの?」
「俺ですか?もうじき26ですよ」

26。26であの金額。ソリアは頭を抱える。
どうしたんです?と首をかしげながら問いかけるディーダに沈黙で返す訳にも行かず、ソリアは適当に世界は広いなあと答えた。

「何を悟ったんですか。まあいいや、そういうわけで今日は思う存分我儘言ってください」

あの金額を見た後で遠慮する気にもなれず、ソリアは素直にああ目ることにした。





[ 21/22 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -