5
「・・・その、間違いとかないよね?男女の・・・ほら・・・」
「・・・ああ、あなたも年頃のお嬢さんですもんね。心配っすか」
けらけらと笑うディーダに笑い事じゃないとソリアがかみつくとほんとにかわいい人だなあと更に笑われた。
「大丈夫ですよ、この個室には鍵付いてますし。ただ、覚悟してほしいのはカインヴァルツの旦那です。あの人野獣ですから」
にこやかに言われたある意味最も恐ろしい発言に、ソリアは顔を真っ青にさせた。
ではお大事にとディーダが部屋を出て行った。それと入れ替わりに顔を見せたのはカインヴァルツだった。紙袋を両手に引っ提げ、それを机の上に無造作に置く。
「必要最低限の生活必需品だ。服や下着は明日にでも買いに行けばいい。今夜はそれで我慢しろ」
それ、と指差されたのはカインヴァルツのコートで、まだ着ていたことを忘れていた。
実は、ソリアは内心びくびくしていたのだが分かったと返事を返すとカインヴァルツがさっさと出て行ってくれた。
ほっとしたソリアは紙袋の中身を覗く。歯ブラシやコップなどが入っており、疲れ切っているソリアの心をいやした。
その頃ドアの向こうではカインヴァルツがしゃがみこんでいた。それを見つけたディーダは無言で近づくとカインヴァルツにしては珍しく情けない顔をしてディーダを見上げていた。
「あいつ・・・ジッパー占めてないのは誘ってるのか?」
「知りませんよ」
一遍頭湧いて死んだらどうです?
ディーダはにこやかに毒付いた。
[ 19/22 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]