Fight rhapsody | ナノ




3

ソリアは、深呼吸をして教えてと答えた。
本当は聞きたくないと思う。知らないままでいいと、耳をふさごうとする自分がいる。
だが、自分に関わった時点で必ずついて回る事実なら今知ろうが後で知ろうが変わらない。

ディーダは再度いいんですねと尋ねる。ソリアが無言でうなずいたのを確認して口を開く。

「・・・ソリア嬢を狙った奴らは『罪の子供たち』という戦争兵器・・・いえ、戦争兵器のなれの果てです10年前に大きな戦争があったのは御存知でしょう?」
「ええ、あの最新兵器でわたしたちの国が圧倒的勝利したっていう・・・」
「『略奪戦争』俺たちの間ではそう呼ばれています。彼らはその戦争の悪質な副産物です」
「なんですって・・・!?」

自分たちを勝利へと導いた兵器が、今は殺戮兵器?
少し混乱しながらもソリアは続きを促す。

「戦争で使われた兵器は『神の子供たち』。主に孤児や戦争に復帰できなくなったものに対する肉体改造計画のことです。彼らはそのプロセスで生まれた失敗作というやつです。戦闘能力自体は『神の子供たち』も『罪の子供たち』も大差はありません。ただ、『罪の子供たち』はメンタル面で問題があった・・・ご覧になられたように理性も個の特徴もない。その上見境なく殺戮を行う。それが彼らの特性だった」
「・・・『神の子供たち』は」
「彼らはまだ人としての意識も道徳もある。だから今も何処かでふつうの人間の生活を楽しんでいますよ。働いて、恋愛をして、子を為して。どこにでもいるふつうの人間のようにね。だが、『罪の子供たち』ははっきり言っちまえば、クレイジーな犯罪者集団なんすよ・・・ねぇソリア嬢、彼らのような何もかもがオーバースペックな上に理性なんざ欠片も持っちゃいない奴らが徒党を組んだらどうなると思います?」

その台詞に、ソリアは背筋がぞっとした。そんなこと頭を使う必要もない。
それでも恐ろしい事実にソリアは喉が凍りついて声を発することができなかった。それに気が付いたディーダは自分が持っていた紅茶の入ったペットボトルをソリアに渡す。しかし、ソリアはそれを握ったままで飲めなかった。


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