Fight rhapsody | ナノ




2

「そ、れは・・・」
「御免被りたいですね。あなたの疑心暗鬼に付き合っていられるほど俺たちも暇じゃあない」

ディーダの言うとおりだ。
やつらの正体を知りたいのは自分が憎むべき対象をはっきりさせたいだけで。
彼らの正体を知りたいのは自分が安心したいからで。
もし、敵にならないという答えが出たのなら、助けを乞うつもりだった。
この男は、自分の甘い考え全てを見抜いている。
ソリアはこくりと唾液を呑みこむ。喉の渇きが潤う変わりに口が渇いていく。
黙っているソリアに、ディーダは先に口を開いた。

「疑心暗鬼もいいですが、取りあえずああなった経緯を教えていただかないと。あの街で唯一生き残ったのはあなたなんですから」
「・・・それを聞いて、どうするの?」
「決まってますよ、仕事です・・・内容も説明しなくちゃ満足しませんかい?」

言葉の裏に、情報交換を要求されている。それに気づかないほどソリアは子供でもなければ鈍感でもない。そして、ここで強情を張るほどソリアは愚かでもなかった。
自分の知らない情報を手に入れなければ、対策も練れないし対処のしようもない。そのことに気付かず愚かな子供でいられたならどれだけよかっただろうか。
ゆっくりと口を開いたソリアに察しのいい人は好きですよとディーダが言ったが、それを無視する。間に受けると癇癪を起しそうになるからだ。

所々かいつまんで説明すると、ディーダは暫く考え込んで、あの胡散臭いくらいさわやかな笑顔をソリアに向けた。

「ありがとうございます、是で報告書がかけますよ」
「ほう、こく書?」
「ええ、俺たちは八つあらに襲われた村や町へ向かい、できるだけ奴らを狩るのが仕事です。俗に言う暗殺者や傭兵がそれですね」

今回は少々来るのが遅れてしまいましたあがと自嘲気味に笑うとディーダは真剣な顔になった。

「あなたには知る権利があります。あなたが望むのであれば俺は知っていることを全てあなたにお話しするでしょう。しかし、あなたはそれを聞いて後悔しませんか?」
「なんで?聞きたいに決まって・・・」
「あなたにいは少々残酷すぎるお話なんで。何も知らないままのが楽な時もあります。そして、知ってしまえばあなたはあいつらとずっと付き合う羽目になる」

にこりともせずに淡々とディーダは告げる。これは彼なりの情けなのだろう。知るか、知らずにいるかという選択肢。


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