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あいつらが、みんなを殺した。
あいつらが、わたしから全てを奪った。
許さない、許さない許さない許さない許さない許さないゆるさないユルサナイ
ユルサナイ!!!!
「ぅああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」
少女の絶叫とともに、胸元が赤く赤く輝く。それはやがてソリアを抱きかかえる影となり、明確な形を作り出す。
「これは・・・騎士、か・・・?」
カインヴァルツが茫然と呟く。肯定するかのように騎馬が嘶き、剣を振り上げる。刃は残りの者たちを容易く切り裂いていった。
カインヴァルツが騎士に目を奪われている間、ディーダはソリアを凝視していた。
ソリアは意識を失ったのか、ぐったりとしている。しかし騎士に抱え込まれたその体の背中から、赤く小さな羽根が生えていた。
「なんだ、これは」
見たこともない現象に、二人が立ち尽くしている間に全てが終わっていた。
騎士も、羽根も全て消え、その場に生きているのはカインヴァルツ、ディーダ、ソリアの三人だけだった。
崩れるように倒れたソリアをカインヴァルツが抱き上げる。その顔は普通の少女のそれだった。
「おいおいおい・・・旦那とんでもねえ拾い物してくれたな」
「ああ、大いに反省してる」
「どう説明するおつもりで?こんな化け物どもに好かれてるわおっかねえ魔法使うわ・・・」
「・・・」
「上層部に売ります?この子を実験台もしくは奴らのエサとして」
ディーダの冷徹な声がカインヴァルツの鼓膜をつく。一般市民が聞けばうすら寒い汗でも出てきそうなその声でもカインヴァルツは動じない。暫く逡巡したのちカインヴァルツは首を横に振った。
「最近上層部がプラントと組んでるんじゃないのかと噂が流れてるのにこいつを売る?俺たちの仕事を余計に増やすだけだ」
「そうっすねぇ・・・ローリスクハイリターンが魅力で雇われてんすもんね」
じゃあ、黙ってるか。
やたらと強い二人の男はあっさりとそう決め込んだ。
抱え上げられた少女は再び夢の中。
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