Fight rhapsody | ナノ




5

その一言に二人はバツが悪そうに、カインヴァルツはまた頭を掻き、ディーダは苦笑した。
と、いきなり二人の纏う空気が変わる。

「え・・・ど、どうしたの・・・?」
「すいやせんソリア嬢。壁際まで下がってください」
「絶対俺たちの前にでるな」

急激に緊迫感の増した空間に、ソリアは息を呑み、壁際まで下がる。
それより一瞬後か、殆ど同時だった。

「「「「ソリア、見ィツケタ!!」」」」

いやなほど聞き覚えのある声に、ソリアは体が硬直する。忌々しく、恐怖をあおる無邪気な声。
あの者たちだった。

「っち、あれだけ殺してまだいるか」
「しゃーないでしょう、プラント破壊しないといくらでも出てきますよこいつ等は」

ディーダのその台詞に、ソリアは愕然とした。

(まだ、あんな化け物がいるの?)

自分から全てを奪った者たちが?
悲鳴を上げたくなった。意味もなく、雄叫びたくなった。
その衝動をけたたましい銃声がかき消す。
カインヴァルツが持ち手に刃のついた漆黒の双銃を、ディーダが白銀のハンドマシンガンを二丁構えて引き金を引く。ほとんどの弾丸は頭部を打ち抜き、カインヴァルツの刃が頭を半分に切り飛ばす。瞬く間に三分の二ほどの数が肉塊と化し、その場は文字通り血の海となった。
むせ返る生臭さと鉄錆の匂いにソリアは意識を手放しそうになる。それを一瞬だけ見たディーダはカインヴァルツを呼ぶと耳打ちした。

「ここはいったん下がりましょう。ソリア嬢もいますし長居する必要もない」
「そうだな、逃げ切れそうか?」
「簡単ではないですが難しくもない、まあ五分五分でしょうね」
「OK、お前はあいつ抱えて前は知れ。後ろは俺が切り刻む」
「はいはい、っと・・・あー、まぁーた筋肉痛だ」
「そんな弱ぇ筋肉捨てちまえ」
「旦那それ酷・・・?」

軽口をたたきながらも段取りを組み立て実行しようとした、その刹那。
背後から赤い光が差し込んだ。

「っ!?」
「なっ・・・!?」

カインヴァルツとディーダが振り返る。光源は、ソリアだった。



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