大乱闘スマッシュブラザースZERO | ナノ




6

食卓に近づくとにぎやかさはもはや騒がしさへと変わっていた。エースの姿を見つけた0組は大丈夫かとかよかったとかねぎらいの言葉をかける。
たまたま開いていたナインの隣に座ると背中をばんばんと叩かれる。痛い。

「お前はどこにいても一番起きんのおせぇなおい」
「うるさいな」
「事実だろコラ。でもま、なんだ、起きてよかったじゃねぇか」

そう言って乱暴に頭をなでるナインにエースは嫌がりながら心の中で礼を言う。心配していても心配していたとは言わない、それがナインだ。
その向かいの席ではトレイが青い髪の青年に薀蓄を聞かせていた。

「・・・ですから私たちの世界はクリスタルの恩恵によって成り立ってまして・・・」

普通ならトレイが喋りだしたら誰かが途中で止めるか、飽きて寝てしまうか聞き流してしまうというのにその青年は律儀に最後まで聞いていた。ナインとエースが見ている間にトレイの話は終わったらしい、すると青年は顎に手を当ててなるほどなと呟いていた。まさか本当に最後まで聞いていたのか?だとしたら、すごい。

「君の知識はすごいな。僕は自分の世界の・・・いや、自国の歴史や産業とか以外は聞きかじりでしか知らない。世界のエネルギー源のメカニズムから歴史、他国の文明文化まで事細かく覚えてるなんて・・・尊敬するよ!」
「ほ、本当ですか!?そんなことは初めて言っていただきました!」
「どうして?とても興味深い内容だというのに・・・よかったら他にも聞かせてくれないか?」
「ええ!ええ喜んで!では次に・・・」

歓喜するトレイを見ながらまじでか、とナインの口が動く。エースも同感だった。
まさか、まさかあのトレイの長話を催促する人間がいるだなんて・・・!
世界は広い、いや多いなあ・・・と思っているとリンクとリンクと同じく耳の長い女性、赤い髪の少年に・・・天使?が食事を運んできたらしい。スペアリブやスープなど非常に美味しそうな料理がこれでもかというくらい運ばれてきた。

「り、リンク・・・多すぎやしないか?」

エースはやんわりとそう言ってみる。だって、多い。多すぎる。この人数でも食べきれないんじゃないかという量なのだ。しかしリンクは疲れた笑みを浮かべ、

「いや・・・下手したら足りない」
「・・・そうか」

エースは何も言わなかった。多分、今からこの料理がなくなっていく原因が嫌でも見る羽目になるのだと予感した。


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