大乱闘スマッシュブラザースZERO | ナノ




2

「・・・ん?」

エースはしょぼつく目を無理やり開いた。見慣れない白い天井が真っ先に視界に入り、自分の体の上に乗っている布団の感触を皮膚が伝える。

「・・・!!?」

何処かの医療室かな、と思った瞬間エースは飛び起きた。何故僕はここで眠っている!
勢い良く起きた所為かずきりと痛む体に思わず起こした上体を前のめりにする。上半身に制服は着ておらず包帯が巻かれていた。
余計に訳が分からない。なぜならエースはルルサス軍と決着をつけ、死んだはずなのだ。
状況が分からず軽くパニックに陥っているとがちゃ、と音を立ててドアが開く。

「エース!よかった、目が覚めたのですね!」
「え!?く、クイーン?」

ドアから入ってきたのがクイーンだとわかりエースはほっとするものの更に疑問は募るばかりだ。

「一体どうして・・・僕達は死んだはずだ」
「さぁ・・・わたくしにもさっぱり・・・」
「ああ、起きたんだね」

エースがぎょっとして今しがたクイーンがはいってきたドアの方向を見る。そこには白衣の男が立っていた。
大きな鼻とその下に蓄えた髭が特徴的な、とても背の低い男は人好きのしそうな視線をこちらに向けていた。自分を、もしかしたら自分達を手当てしたのはこの男なのだろうか。何のために。
エースが警戒心をむき出しにしているとクイーンがなだめるように、しかし小声で囁く。

「大丈夫です、彼がわたくしたちを手当てし保護してくれたのです」
「・・・何故」
「それは・・・」
「ははは、やっぱり警戒されるか。他の子たちもそうだしな」

小声のやり取りが聞こえていたのだろう、しかし特に気にした風もなく男は笑う。きょとんとする二人につかつかと近寄るとエースにちょっと失礼するよと言って包帯を取り傷の様子を見る。

「うん、傷は塞がっているな。でも皮膚の形成がまだ不安定だから激しい運動はだめだぞ?」
「え、ああ、あぁ・・・」

うろたえるエースをよそに男は手慣れた様子で新しい包帯を巻きつける。布が擦れる音が響くほど沈黙しきった空間で最初に切り出したのはクイーンだった。

「あ、あの、あなたは誰なんですか?」
「俺?ああ、紹介がまだだったな。俺はマリオ。『スマッシュブラザーズ』のリーダー兼医者だ」
「すまっしゅぶらざーず?」

首をかしげる二人にまあ初めて来たんだし知らないよなと苦笑しながら男、マリオはエースの包帯を止める。そして白いワイシャツを手渡した。

「はい、君の着てた服ぼろぼろだったから今はこれを着て」
「はぁ・・・」



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