暗闇アリス | ナノ




3

「何これ・・・!?」

明けてみたページは真っ白で、インクの汚れも無い。ぱらぱらとめくって見たが、どのページも何も書かれていない。

「何よこれ!」

私は怒鳴りつけて其の本を床に叩きつける。物語が展開で人の思考を裏切るのは好きだ。でもこんな裏切り方って無い。
憤慨した私は其の本を開いたまま机に置く。其の瞬間、真っ白のページに文字が浮かんできた。

『手を伸ばしなさい』

そう書かれていた。

「?」

字がひとりでに出て来たのも常識ではありえない。そんな常識より私はこの一言の意味のが気になった。
すると文字が消えて別の文字が浮かび上がる。

『こっちにおいで』

その刹那

私の存在と意識は現実から消えた。




机にぽつんと残ったのは

黒い表紙の本だけだった。



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