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「ようこそサウィナズスの街へ!兄さん達、ぼんやりしてっとファンゴじゃなくて船乗りに轢かれちまうぜ?」
呆然と突っ立っていた二人の背を船乗りが豪快に叩く。
「うわっ…」
「あだぁっ!?」
カインはなんとか耐えたがレンは船乗りの勢いに耐え切れずよろめく。
前につんのめったレンに悲劇が起きた。
「どいたどいたぁ!」
「え…ぎゃあぁぁぁぁあああ!!」
大きなハリマグロを何匹も担いだ船乗り達が凄まじい勢いでレンを轢いた。
それだけではない。
「そのお魚売って頂戴!」
「ちょっと!それ私が目をつけたのよ!」
「私が先よ!」
「い…ぐえっ!」
朝市なのだろう、凄まじい形相で主婦達が船乗り達を追う。当然その進路上に倒れていたレンは勢いよく踏み潰される。
後には倒れて動かないレンと、レンの行く末を見ていた船乗りとカインだけが残った。
「…友達、潰れちまったな」
「いいんです、オチはついたので」
「結構辛辣だな、兄さん」
淡々とレンを担ぐカインに、船乗りはそう呟いた。
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