序 一ページの終わりから
「はぁ…うわっ!!」
走り過ぎたせいか、膝から力が抜けて派手にこける。
背後から、彼女の牙が近付いてくるのが分かった。
その時僕は死んだ。あの凶悪なまでに鋭い牙に裂かれて。もしくは巣まで連れてかれて彼女の子供の餌になって。
死んでいた、筈だった。
「ゥギャア!?」
「へ?」
背後で聞こえた変な鳴き声に僕は後ろを振り返った。
女王は、蔦に足を引っ掛けてこけていた。
何だかわたわたしているリオレイアを見ていたら可哀相…というか痛くて見てられないなと思った僕はつい蔦を切った。
「……」
「……」
痛い沈黙と共に女王は踵を返して行ってしまった。
僕もその場にいると何だか虚しくなりそうだったから幼なじみの所へ向かった。
「私の出番…………………やり直しを要求する」
後ろでそんな台詞が聞こえた気がした。
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