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倒れた村長を捨て置き、レンは足を庇いながらゲリョスから下り、カインに近寄る。
幾分か荒い呼吸は、レンが心配していた程でもなかった。
しかし、背後ではらはらしているファイが余りにも面白かったのでちょっとからかうことにした。
「ファイ…残念だけどな…カインは…」
「…!!」
「………………この様子じゃ内蔵が傷付いてる可能性はナシ!!腹縫ったら大丈夫だ!!」
「……………は!?」
「だぁからよ、カインは見かけよりずっと軽傷ってことだ。腹自体はばっくりいってるけど皮膚だけだし、止血しときゃ全然オッケー…」
と、レンはファイが下を俯いてふるふる震えながら何事かを呟いたのを聞いた。聞き取れず、もう一度レンが聞き返したその瞬間。
「っレンの馬鹿!!!」
「い゙っでええええええ!!」
ファイが楯で、レンの頭を思い切り打った。
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