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光源に対して後ろを向いていたファイの目さえ残像を残す光は、村長の目を焼いた。
「うあっああああ…!!」
両目を抑え悶絶している村長などどうでもいいと言わんばかりにファイの背後にいた存在は雄叫びを上げた。
「げっくん&レン様参上!!」
「レン…!」
アホなことを叫ぶレンにファイは心底ほっとした。レンは翼を広げ威嚇するゲリョスの背に器用に乗っていた。
レンは、ファイに抱えられているカインを見るや否や顔をしかめる。
そんなレンに縋る様にファイが引き攣った声を上げる。
「レン…カインが死んじゃう…!!」
「また手術かよ…」
げんなりしながら肩を竦めるレンの胴装備は血で赤く染まっている。
どうしたのだろうとファイが見ていると視線に気付いたレンが後で教えると言った。
「さてとカインの手術…の前にお掃除やりますか!!」
言うや否や、レンはポーチから何か取り出すとゲリョスの閃光によって目を潰された男達に放り投げる。
「いっいだだだだだだだ!!」
「いってえええ!踏んじまったあ!」
それを踏んだり、またはぶつけられた男達は端から見ればコミカルに痛がりもんどりうつ。
ファイが呆気に取られていると、レンが意地悪く笑う。
「安心しろよーそれ、只のハリの実だからV」
「…レン」
「カインに喧嘩と悪戯の極意を教えたのは俺だからな。武器使えなくてもどうとでもなるんだっつーの!」
べえっと思い切り舌を突き出すレンに、ファイはうわあと言う感情を込めてレンを見た。残念ながら、レンには伝わらなかったが。
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