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暫くして、二人分の足音が聞こえカインとファイが姿を見せた。
片や不機嫌たらたらな顔をし、片や距離をとり微妙な顔をしていた。
ファイは何故かは知らないが、カインの表情にレンは訝し気に覗き込む。と、カインがその顔面すれすれに先程レンが所望した物が入っているずた袋を突き付けた。
「はいこれ」
「あ、あぁ」
凄まじい不機嫌オーラに押され、半ば反射的に袋を受け取ったレンは、ファイからも渡された袋を覗き込む。…ネンチャク草だらけだった。
「ちょ、ファイ…ネンチャク草…」
「!!!」
レンがネンチャク草の事を言った途端、ファイは肩をびくつかせ顔を真っ赤に染めた。
(こいつ等何して来たんだよ!!?)
まさか自分が二人きりにしたせいで何かの間違いが起きたのだろうか。色んな順序をすっ飛ばして一線を越えてしまったのか?
(い、いやいやいや!カインに限ってそれはねぇ!ま、まさかファイから襲っ…!?)
どんどん予測が暴走していくレンを尻目に、カインはファイから離れた位置に腰を下ろす。そして冷ややかな声でレンに言った。
「…さっさと治療すれば?」
「うぉぉぉぅ!?」
奇声を発しながらもカインのオーラが怖くて調合の準備を始めたレンを見ながら、ファイは端の方で足を抱えて座った。やはり、カインは怒っている。
何故なのかを、レンに聞くべきなのだろうか。
気付いた気持ちにも免疫がなく(今まで誰かにこんな感情を抱いたことなどないので当たり前なのだが)どうすればいいのかファイには検討も付かない。
(……どうしよう)
帰ってから、ケビンに聞いた方がいいのだろうか。それともエルベか美船のがいいのか。
横目でカインを眺めながら、ファイは悶々としていた。
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