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ゲリョスがカインに睨みを効かせているのに対し、カインは微笑みを絶やさない。
と、カインはおもむろに大剣を背負う為のベルトの留め具に手をかけると躊躇いなく外した。
そして、あろうことか大剣を自分から離れた位置まで投げたのだ。
「ぎゅ!?」
ゲリョスはカインの奇行に仰天し、体をびくつかせる。一方、カインは平気な顔をしてずかずかとゲリョス達に近寄る。ゲリョスが威嚇するが足を止めずフルフル亜種の傷を見た。
回復薬に塗れて尚、効き目が薄いそこは、よくみると何が埋まっている。恐らく、治りが遅いのはこれのせいだろう。
「これなんだろ…」
とりあえず近くに転がっていた回復薬の瓶を拾い、蓋を開け中身を少量垂らす。フルフルが呻いたが、今は我慢してもらおう。
その様子をぽかんと見ていたゲリョスは、漸くカインが自分達を害しに来た訳ではないと分かったらしい。少し窪んだ所から夥しい量の回復薬を引っ張り出してきた。
「お前…そんなに盗んだのか?」
「…ぎょ」
今にも崩れそうな回復薬の山を見てカインは呆れ、ゲリョスはバツが悪そうに頭を垂れた。
とりあえず、レン達にこの事を知らせた方が良い。カインは立ち上がり、ゲリョスの腹を一回軽く叩いて、ベースキャンプへ足を向けた。
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