D×D Bypar | ナノ




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いきなりのクエストがおかしい発言に、カインが何を思ったのか解らないレンは疑問符を浮かべる。カインも自分の言葉が足りなかったのがわかったのだろう、レンが続きを促さなくても口を開く。

「クエストの対象になるのは、人間に対して害のある…気性が荒くて別の生き物を見かけただけで襲い掛かってくる奴なのは知ってるでしょ?」
「ああ、耳にタコが出来る位聞かされたぜ。それが?」
「普通に考えておかしいでしょ?あのゲリョスは明らかに討伐規格に当て嵌まらない」

あの時襲い掛かってきたゲリョスはファイにナイフを当てられたから怒り狂っただけで、そのあとのカイン達の被害らしい被害と言えば回復薬を盗まれただけだ。ファイとレンが負傷したのは着地点が毒沼だったと言うだけなのでカウントしない(ゲリョスが狙ったのならカインも沼に浸かっている筈、と言う点を考慮した上でだ)
そして先程のゲリョスの行動。何をとっても不自然なのだ。

「資料にも載ってる、『ゲリョスは臆病な飛竜である。凶悪な個体でなければ自ら他種生物を傷付けることはない』凶悪な個体と言うカテゴリーに、あのゲリョスは当て嵌まらない」
「でもクエストボードには『村人が複数死傷した』って…」
「別の飛竜に殺されたか、或いは依頼主の嘘かもしれない」
「じゃあなんだ?オレ達は嘘のクエスト受注したってのか?ギルドは嘘に気付かなかったのかよ」
「多分、観測班がゲリョスを見付けたから通したのかも知れない。それに今の時点でクエスト内容が虚偽なのか事実なのかも判断出来ない」

ゲリョスが標的でいいのか。今カイン達が知らなければいけない事項はそれだ。

カインは大剣を担ぐと防具の留め金を締め直す。
レンが何処へ行くんだと聞いてきたのでカインは砥石をポーチにしまいながら返事を返した。

「ちょっとゲリョスの後追いかけてくるよ」




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