D×D Bypar | ナノ




11

ベースキャンプに設置されているベッドにファイを寝かせ、カインは無言でレンの足を見る。
ファイは全身毒浸けになったものの解毒薬で完全に毒素を中和しただろうし、目立った外傷はなく、安静にしていれば問題は無いだろう。レンは足だけとは言え、太股から膝裏にかけて、大きな切り傷が出来ていた。恐らく木の枝にひっかかってできたのだろう。毒が傷に触れでもしていたら大事(おおごと)だ。
カインは支給品の入っていた箱から残りの解毒薬と応急薬を取り出す。ベースキャンプに置かれていた布に飲料用としてもって来ていた水を染み込ませると、傷口の回りを丁寧に拭く。レンが痛みに呻いたが我慢してと突っぱね、応急薬を傷口にかける。大きな外傷には、飲むよりかけた方がいいと言うのはケビンからの受け売りだが。

一連の作業を淡々とこなしながら、カインらさっきのゲリョスのことを考えていた。

(なんで攻撃してこなかった?)

死んだ振りをし、アイテムまで盗むと言うのに、あの最大のチャンスを不意にしたのだろうか。
自分達を排除しておけば、彼(雌なのかも知れないが)はもっと自由に行動できるのに、だ。
それを考えると、薬草を渡したことにも疑問が湧く。放っておけば勝手に死ぬものを、わざわざ…

「…ちょっとまてよ?」
「カイン?」
「レン、君モンスターの資料とクエスト受注表持ってたよね。借りていい?」
「別にいいけど…いきなりどうしたんだよ?」

それには答えず、カインはレンのポーチから資料とクエスト受注表を引っ張り出すと、ゲリョスのページと受注表を並べ、見比べる。

「…おかしい」
「なにがだ?」

やがてぽつりと呟いたカインを訝し気に見遣るレンの疑問に、カインは今度は口を開いた。

「このクエストがおかしいんだ」




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