D×D Bypar | ナノ




10

手当てを終え、カインはレンを支え、ファイを背負いながらベースキャンプへ向かっていた。完全に意識を飛ばし、力無く目を閉じているファイにレンは申し訳なさと無力感を感じていた。
今も、足さえやられていなければカインの負担を軽く出来たはずだし、自分に使う分の薬草をファイに回せた。
それ以前に、レンが無防備に近寄りさえしなければファイがこんな状態になりはしなかった。

カインの荒い息遣いを聞きながら、じくりと足とは違うところが痛むのを感じ、レンは耐え切れないと目を閉じた。



カインは酷く不快だった。
何に対して不快なのか解らず、それ故にその疑問が解決出来ず更に不快感と不安がごちゃごちゃに頭を掻き乱す。

浮かれていた自分に腹を立てていたのか?

(何故浮かれていた?)

楽しげに喋るレンが疎ましかったのか?

(その奥の感情の名前は?)


毒怪鳥の卑怯な戦法が許せなかったのか?

(生きる為の術に一々腹を立てているのか?)





解らない。何が解らないのか、解らない。
誰に向かった感情なのかも
何を思った思考なのかも
そして


(レンが邪魔だと思うなんて…最低だ)


唯一無二の親友を邪険に思った自分さえ解らず、カインは思考を捨て緩慢な動作で足を動かし続けた。



その嫌な沈黙は霧に紛れたベースキャンプに辿り着くまで続いた。



[ 59/200 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -