D×D Bypar | ナノ




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ゲリョスは飛び出した勢いを殺さずナイフを投げた張本人であるファイ目掛けて嘴を振り下ろす。しかしファイは危なげなく避けるとバックステップで距離をとる。その手に片手剣は握られていない。
それをどう取ったのか、ゲリョスは執拗にファイを狙うがファイはいともたやすく全て避け切る。そして、ゲリョスが嘴を振り下ろした瞬間。



ばきりと言う痛々しい音と共にゲリョスの体が宙に舞う。


どっと音を立て地に伏したまま起き上がらないゲリョスと振り上げた足を下ろしたファイを見比べたカインとレンは口が開いたまま動けなかった。

「飛竜を…蹴り飛ばした…!?」

カインは呆然と言った体で呟くが、呟いた所でその言葉が現実味を帯びることはない。レンなどは完全に言葉を無くし、ボウガンを地面に落としていた。
そう、ゲリョスの嘴が地面に接触するか否かの所でファイがゲリョスの側頭部に強烈な蹴りを入れたのだ。
それならばまだ「飛竜を蹴っ飛ばした」だけですむのだが(いや、済まないか)なんとファイは全体重を足一本に掛けゲリョスを数メートル吹き飛ばしたのだ。

ぴくりとも動かないゲリョスに漸く動ける位に思考が復活したレンが近寄る。完全に動かないゲリョスに気を抜いてレンが手を延ばした。

「駄目だ!近寄るな!」
「え?」

ファイの鋭い声が響き、レンが間抜けな声を上げるのとゲリョスが勢いよく飛び上がり、レンに体当たりしたのは殆ど同時だった。

「がっ!?」
「レン!?」

毒ガスの吹き出ている場所へ勢いよく吹き飛んで呻くレンに気を取られたカインの左サイドから、ゲリョスの突進が直撃する。なんとか受け身を取りカインが体制を立て直す頃にはゲリョスは走り去った後だった。


後には大剣を下ろしたカインと、毒沼で苦しむレンとファイが残された。



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