6
竜車から降りたカインとレンは沼地特有のぬかるむ地面に辟易していた。ファイだけ余裕なのは言うまでもないだろう。
「うっわー…こけそうだな」
「闘ってる時とか気をつけないと」
「慣れたら平気」
そんな素人二人の感想を一蹴するとファイは千里眼の薬を口に含む。
「…ここから南東の方角、洞口内」
機械的にそう呟きファイはすたすたと歩きだす。
二人はこけない様に気をつけながらも慌ててファイを追い掛けた。
ここ沼地は、日中も薄暗く、土地や磁場の影響なのか方位磁石が使えない。しかも夜になれば毒ガスが噴き出し水溜まりに溶け沼地の名物(ではないのだろうが)毒沼が出来上がる。触れればたちまち毒に犯されるだろうが、幸か不幸か毒の成分は神経毒ではないので苦しくとも身動きができ、解毒薬で体内解毒はできてしまう。かなりの苦痛は伴うが。
そしてカイン達が目指している洞口は雪山や凍土ほどではないがかなり冷えるので、代謝を高め、体を温めてくれるホットドリンクも必需品だ。
洞口の入口のあるエリアで三人は支給されていたホットドリンクに口をつけていた。
「…っ」
ファイが顔を歪める。それもかなり露骨に。
「うぇっ」
レンが思わずホットドリンクの瓶を落とす。
カインはいたって普通…
「辛っ!つか痛っ!」
ではなかった。涙目になって咳き込んでいる。
……………ホットドリンクは代謝を高めるためにトウガラシを大量に使っているのだ。
よっぽどの辛党でもないかぎり一気飲みは難しいのである。
[ 55/200 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]