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酒場でカインとレン(もちろんチャチャとチエリーも同行している)が夕食を楽しんでいた時だった。
少し遅れてきたケビンがモス肉の鉄板焼きを片手に隣に座った。近所ということもあってここ最近はこの面子で食事を共にすることが多い。
と、ケビンは一口大に肉を切り分けながら口を開いた。
「二人とも、ちょっといいか?」
「なんですか?」
「悪いが明日から暫く別の奴と狩りに行くから俺抜きでクエスト行ってくれ」
知り合いのハンターが手に余るからとケビンに白羽の矢を立てたらしい。
それなら仕方がないとふたりが了承するとそのかわりとケビンが続けた。
「俺の代わりにファイに代理頼んどいたから少し位無茶しても大丈夫だぞ」
ガッシャァァァァン!!
音源は、カインだった。手に持っていたグラスとフォークを落としたのだ。レンが慌てて破片を拾うがカインは依然固まったままだ。
「きゅ?」
「カインどうしたっチャ?」
チエリーとチャチャが覗き込んでもカインは固まっていた。
レンが箒とちり取りをエルベに謝りながら渡し、チャチャとチエリーがカインを見ているのに飽きた頃、漸くカインが動き出した。かなりぎこちなく。
「け、びんさん、さ、さっきなんて」
「動揺しすぎだ。ひらがな表記は読みにくいぞ?」
「いま、な、な、な、なんて」
「ファイとデートできるぞー、って言っ」
ガンッ!!
今度は勢い良くテーブルに、減り込んだ。と言うかカインよ、お前そのリアクション好きだな。
「ちょ、おっさんカインにその手の冗談ダメだって」
そういいながらもレンも笑いを堪えている。恐らく、幼少時代にそのネタでからかったと思われる。
ケビンは初でいいねぇと肉を口に放り込み、爺臭く茶を啜った。
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