1
竜騎士伝説を聞かされてから数日後。カイン達は狩りの準備を始めていた。さすがにクルペッコをフリーハントして報酬が上乗せになったとはいえイャンクック討伐の報酬では一週間も食べられない。
「なあカイン『ゲリョス』ってどんな奴なんだ?」
「…」
「おーい、カイン?」
「……」
「あ、ファイだ」
「え?もう?」
ぼんやりしていたカインに一言ぼそりと呟いて現実に呼び戻してから溜息をつき、レンは嘘だっつのと舌を出す。
「お前、ちょっと浮かれすぎ」
「う…」
そう、カインはかなり浮かれていた。有頂天と言っても良い。ただいま現在進行形で地に足が着いていない状態だ。
「いくら憧れでも、遠足行く訳じゃねえんだからもちっと気引き締めろ」
「わ、分かってるよ」
「いーや、分かってねえな。ファイと一緒に狩りに行けるからって顔ふやけすぎだぜ」
「うぅ…」
そう、今日の狩りは用事で不在のケビンに代わってファイが二人に同行することになっていた。
いきさつは、三日前に遡る。
[ 50/200 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]