D×D Bypar | ナノ




7

チエリーと戯れるカインを見ながらファイはお茶に口を付ける。東国の『グリーンティー』と呼ばれる渋味のあるお茶を好んでいる。美舟も同じ物を上品に飲みながらどこか懐かしそうに呟いた。

「こうしていると、人も竜も垣根を取り払って生きて行ける時代がくるのかしらと考えるわ」
「おばあちゃん?」
「貴方の好きな物語にもあるけれど、あんな殺伐とした物ではなくて、今のカインさんとチエリーのような家族になれるのかも、と期待してしまうわ」

とても寂し気に呟いた美舟を励ます術を、ファイは持たない。こう言う時だ、ファイが酷く無力感を感じるのは。

と、レンが美舟の元へチャチャを頭に乗せて寄ってきた。大分と気を許したらしい。

「なあ美舟さん」
「あら、おばあちゃんと呼んで良いのよ」
「じゃあ美舟ばあちゃん、さっきの物語って?」

どうやらファイと美舟の会話を聞いていたらしい、チャチャも興味深げに覗き込んでいたし、いつの間にかカインとチエリーも聞く体制に入っている。ケビンは懐かしいなと呟きながらも聞くつもりらしくカインの隣に座る。ファイも目で聞きたいと訴えていた。
沢山の『孫』に囲まれた美舟はそっと微笑むと、時間もありますからと口を開いた。

「これは今から千年昔のお話なのだけれど−−」

詩人が唄うように美舟はそっと語り出した。



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