D×D Bypar | ナノ




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「どうしてそう思ったのかしら?」

美舟の穏やかな声が染み込むようにカインに響く。母親と呼ばれる人はこんな感じなのだろうかとカインはぼんやり考えた。

「僕らハンターがしていることと今回の処分は命を奪う事には変わりありません。でも相手は全て奪われた子供です。最後に残った…チャチャが繋いだ命まで奪うのは密猟と変わりないと思います」

カインはふと、自分は何を口走っているんだろうと思った。自分がしてきた狩り方より密猟のがよっぽどかわいらしい物なのに。
自分は、何を正義感ぶっている?
それでも。

「飛竜だから処分…って言い方も考え方も、僕は嫌です」

そう、嫌なだけなのだ。チャチャが体を張って守った命を物扱いされるのが。
自分の腕の中で眠るリオレイアが物だと言う考え方が。

まるで子供の我が儘のようなカインの主張を美舟は黙って聞いていた。しかし唐突にほほほと上品に笑い出す。
何故笑われたのかカインには検討が付かず目を白黒させる。

「貴方の気持ちは分かりました。とても優しい子ですねぇ」
「は、はぁ…」

未だにくすくすと笑みを零す美舟の考えが読めずにカインはどうすればいいか分からない。

「ではこうしましょう、このリオレイアはギルド公認の愛玩動物とします」
「えっ!?」
「本当ですか!?」

エルベが驚きの声を上げ、カインの声が期待に弾む。ただしと美舟が続けるとカイン達の間に再び緊張が走る。しかし美舟の言葉は更にカイン達を喜ばせた。

「そこまで言うのですから最期まで投げ出さずしっかり面倒を見なさいな。それが貴方が抱えるべき責任よ」
「はいっ!ありがとうございます!」

カインは勢いよく頭を下げ、いつぞやの時の様にガィンと豪快な音を立てカウンターに頭をぶつけた。


痛がるカインを面白がってからかうレンや苦笑するケビン達を見ていたファイは、自分だけが一人になった気がして少し寂しさを感じた。


と、カインの目がファイをみた。



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