D×D Bypar | ナノ




3

「まっ、マスター!?」

声のした方向を振り向いてエルベは驚きの声を上げた。
こぢんまりとした竜人族の老婦人はいいお日和ねぇとまったりとした声でエルベに手を振る。

「おやおや、見かけない子達ですねぇ」
「あっ、すみません。銀髪の彼はカイン、青髪の彼はレイリン・アルバルト。新米さんです…二人とも、この方は…」
「ここのギルドマスター、桜小路美舟です」

美舟はにっこりと微笑むと不思議とカインとレンの中から怒りが抜けた。

「ご無沙汰してます、マスター」
「あら、ケビンじゃない。お久しぶりね」

今まで事の成り行きを見守っていたケビンまで丁寧な言葉遣いになる。それほどまでにこの美舟と言う人物には敬意を示さなくてはいけないと思える何かを持っていた。

「所で何のお話をしていましたの?なんだかとても切羽詰まった感じがしたのですけれど」
「ええ、実は…」

エルベが事の顛末をかい摘まんで説明する。美舟はふむふむとにこにこしながら聞いていた。
全てを聞き終えた後、美舟は何かを考える仕種を見せカインに向き直る。

「貴方はどうしたいの?」
「え?」

微笑んだままそう聞かれ、カインは返答に詰まる。

「この飛竜の子をどうしたいのかしら?処分に反対するのはそれなりの理由があるのでしょう?」
「…」
「この際理論はいいわ、貴方の感情がなんて言っているのか教えてちょうだいな」

そう聞かれ、カインはそう思った根底の感情を捜す。
やがて降りしきる沈黙を破り去ったのはカインの声だった。

「…奪う理由がない」



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