D×D Bypar | ナノ




16

竜車の荷台の上で、カインとチャチャ、そしてリオレイアが仲良く固まって寝ているのを見ながらケビンは恐らく起きているだろうレンに声をかける。

さっきのレンの叫び声が気になっていたのだ。

「レン、起きてるか?」
「おう…なんだ?」
「お前さんがさっきカインに言ったこと、どういうことだ?」
「…」

まさか沈黙が返ってくるとは思わなかったケビンは面食らう。
先程とは違う居づらい空気を纏った沈黙にケビンが話題を変えようと口を開きかけたが、それより少し早くレンが話しはじめた。

「カインさ…変な、って言ってもいいのかな。なんか妙な癖があって」
「妙な癖?」

レンは再び口を閉じる。言ってもいいものなのかと逡巡しているらしかった。ケビンはレンが口を開くまで辛抱強く待つ。
どう言えば良いのかレンにもわからないらしく口を開けかけてはまた閉じるを繰り返した。
漸く言葉が見つかったのか、慎重にゆっくりとレンが語り出す。

「…あいつ、モンスター狩るとき…いや違うな、凶暴なモンスターかな?そういう奴を狩り終わったとき剥ぎ取りをする訳でもないのにばらばらにするんだよ」
「ばらばらにって…モンスターをか?」
「おう…草食獣とかはそんなことしないんだけど…こう、ランポスとかなら頭・体・脚とか」

酷い時にはミンチになっていることもあるそうだ。

「で、カインは…それを相手が生きたままやるんだ。今回は一撃で終わらせたからまだいいんだ、でも…」
「でも…なんだ?」

尻窄まりにまた黙り込んだレンの頭をケビンが軽く叩く。もう言わなくてもいいぞという意味でやったつもりなのだが、レンは口を開いた。

「…笑いながら…ちょっとずつ斬ってくんだよ」

カインの悪癖に、ケビンは僅かに顔をしかめ、寝ているカインを見る。
今の話を聞いてもケビンにはカインがそんなことする人間には見えなかった。




やがて竜車は街へ入り、カイン達の初仕事は終わった。



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