13
目を開いたチャチャが最初に見たのは。垂れ下がった銀色だった。
沸き起こったのは、疑問。
「な…んで…?」
口にだしてから、チャチャは視界にクルペッコとイャンクックの嘴が映り、ケビンの驚愕に染まった顔を見た。
−−−−−−−−その光景の一番手前に、カインが頭から血を流してチャチャを庇っているのを見ながら。
ヘルムは完全に大破し破片があちこちに散らばっている。大剣を背中に構え、二頭分の攻撃を受けていた。恐らく、胴装備の背中部分も損壊しているのだろう。腕に血が伝っていた。
「なんで…なんで…!?」
「知…らない…ただ…」
素っ気なく返したカインは、しかし続きを言わず雄叫びを上げた。
「っがあああぁぁあ!!!!」
大剣を押し上げイャンクックとクルペッコを押し飛ばす。いくら二頭が弱っていたからとはいえ、同時に弾き飛ばしたカインにケビンは動けずにいた。
そんな彼に構わずカインは一気にクルペッコとの間合いを詰める。
一瞬だった。
どさりと、クルペッコの頭が地面に落ち、体液を撒き散らしながら首がなくなった胴も倒れ動かなくなる。
「ク、アァ!」
我に返ったイャンクックは逃げる体制を取った。だが、カインはイャンクックの逃走を許さなかった。
大剣を片手で持ち、走り滑り込みながら片足を斬り飛ばす。悲痛な声を上げたイャンクックの頭部を。
「っああぁぁあああぁぁああ!!」
カインは粉砕した。
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