D×D Bypar | ナノ




11

飛んできたイャンクックが、クルペッコの前に降り立つ。そこまでなら殺伐としたワンシーンにでもなっただろう。

しかし、カインもレンもケビンもクルペッコも今しがた到着したイャンクックでさえも、口をあんぐりと開けざるを得ない。
彩鳥と怪鳥の間に、でかいどんぐりが転がり…いや小さく奇妙な生き物がひっくり返っていたのだ。

その生き物は頭を振るとキョロキョロと辺りを見渡し、悲鳴を上げた。

「ちゃ、チャチャチャ〜!?イャンクックにクルペッコっチャ!?何で二頭も揃ってるっチャ!!オレチャマ大ピンチっチャ〜!!」
「…なんだありゃ」

一人(?)祭よろしくの勢いで騒ぐそれに、レンがこの場にいる全員の気持ちを代弁する。

我に返ったイャンクックとクルペッコが互いを威嚇する。しかし小さなそいつは勇ましく、短絡的に言うと無謀にも武器らしき棒を振り回し牽制する。

「ピンチだけどチャンス!このオレチャマ、奇面族のチャチャがおまえらを倒してやるっチャよ!!」

アホだ、と呟いたのはレンかケビンかはわからない。

「くらえぇ!必殺…うぎゃあっ!?」

必殺技でも出したかったのだろうか、チャチャが突進していったのはイャンクックだったのだが、イャンクックはアホらしと言わんばかりにチャチャを一蹴する。呆気なく吹っ飛んだチャチャはカインにぶつかって目を回していた。
かなり硬いお面に凄い勢いでキスしたカインは鼻を押さえて悶絶する。たらりと鼻から血がこぼれる。

ケビンとレンはチャチャがたまたま作り上げた二頭の隙をついて攻撃を再開した。
Lv2通常弾をイャンクックとクルペッコの間に乱発し、足場を乱す。
飛び上がろうとしたイャンクックの翼膜をケビンのランスが貫き、引き留める。もがくほど刔れていく苦痛にイャンクックは鳴き声を上げる。ケビンが対応出来なかったクルペッコをレンが的確に狙い撃ち、確実にダメージを与えていった。




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