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クルペッコは、カインの一撃を紙一重でかわす。ただモーションが小さく、端から見たらカインが目測を誤っただけに見えるだろう。
しかし、そうではない。
クルペッコは一歩分だけ動き、その場で一回転した。ブゥン…と風を切る音をさせてしなる扇状の尾が鞭の様にカインに襲い掛かる。
「うあっ!!」
辛うじてガードしたが、勢いを殺せず背中から地面にたたき付けられたカインに追い撃ちをかけようとクルペッコガード迫る。が、走り出そうとしたクルペッコの脚に、ケビンが文字通り横槍を入れる。
ランスは易々とクルペッコの脚を貫くとバランスを奪い転倒させる。
「カイン、今のうちに!」
「はいっ!」
体制を立て直したカインが一気に間合いを詰め、大剣を振り下ろす。
堅い感触が柄越しに伝わり、同時にクルペッコにたいしたダメージを与えていないことも明確に伝える。事実、カインが切り付けた傷は浅く、出血も少ない。
ケビンが型通りにランスを突き出し、連撃を叩き込む。
「っキィァァァァァァア!!」
と、怒りの声を上げてクルペッコが跳び上がる。ケビンはガードしたものの、カインはそういう訳に行かず吹き飛ばされる。 背後の岩壁に、もろにぶち当たり骨が軋む。
「っあ…!!」
「カイン!」
ケビンが駆け寄ろうとしたが、再びの尻尾攻撃に進行を妨げられる。激痛に崩れ落ちたカインを目標に変え、クルペッコは火打ち石を激しく打ち鳴らしカインへ突進していった。
「カイン避けろ!!」
ケビンが咄嗟に叫ぶがカインは動けない。クルペッコも勢いを殺さない。
直撃を喰う、そのほんの一瞬前。
「ギャアァァァァア!?」
「!?」
突然クルペッコが奇声を発して攻撃を中断させた。
動きを止めたのはLv1の貫通弾だった。発射元は勿論レンである。
クルペッコだけでなくカイン達からも解りづらい位置から、続けざまに弾を撃ち込む。全て頭部に当たり、クルペッコを追い詰める。
ビギナーとは思えない射撃精度の高さにケビンは感嘆する。
「凄いな、ありゃ…」
ケビンの声に返事をした者は、いなかった。
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