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そこには探していたイャンクックの姿があった。それだけならまだいいのだ。想定内の光景だから。
普通なら、特に強いモンスターでもいない限りイャンクックは大人しく地面を掘り返して虫を啄んでいるか、もしくは呑気に欠伸でもしている筈なのだ。
しかし、標的であるイャンクックは耳を大きく開き、何かと相対していた。
「クアァァァァァァァア!!」
耳を劈く鳴き声と共にイャンクックが体を半回転させ、尾をそれにたたき付ける。
それを難無くかわしたそいつは翼の山なりの部分を打ち合わす。カンカンと石をぶつけ合う様な音がしたと思ったら、そこから火の粉が飛び出したのだ。
火の粉をもろに食らったイャンクックは、しかしたいした風もなく奇声を発して怒り狂っている。
火の粉を出した方を見て、ケビンは聞こえるか否かと言うくらい小さな声で呟いた。
「あいつぁ…クルペッコか!」
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