5
日が上る、少し前。
ケビンは持参してきた千里眼の薬を一気に飲み干す。
鋭くなった感覚が、イャンクックの居場所を探知する。
「…ここから西だな」
「おう」
答えるが早いか、レンが走り出す。その背中をケビンとカインが慌てて追いかける。
「全く…あいつ本当は前線じゃないのか?」
「一度そう言ったら烈火の如くキレてました。レンにしたら前線は"クールじゃない"んだそうです」
「…狙撃馬鹿か」
「根っからの」
二人がそんなことを話しているのも気付かずに、レンは一番前を突っ走って行った。
目的地手前の小路に差し掛かった当たりだろうか、レンが小さく奇声を上げて急停止した。
「どうしたレ…!」
声をかけたケビンも、驚きの表情を浮かべる。自分より身長の高いケビンが前に立っている為、カインにはなにも見えない。
「二人共どうし…むぐっ!?」
「しーっ!」
「今喋るな!」
ケビンに口を塞がれ、それでも状況が気になるカインに、レンがあっちあっちと顎で示す。
その方向を見たカインは絶句した。
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