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「おいばあちゃん!!くそっ!」
レンがライトボウガンを構え矢が飛んできた方向に銃口を構える。しかしもう矢を射った人間はいないのだろう。矢は飛んでこなかった。
騒がしいのが気になったのだろう、村人たちが出てきて、悲鳴を上げた。
「ひぃ!そ、村長!!」
「秋野さん、しっかりなさってください!」
「布だ!後薬草を準備しろ!」
「ばあちゃんしっかりしろ!んなとこでくたばんな!おいこらババァ!!」
「お湯!体冷やさないために!後レンの邪魔しないで!」
村人やレンたちの怒号や叫び声が飛び交う。その中で、カインだけはぼんやりとその光景を見ていた。
ただ一人異質なカインに、馴染み深い村人がぽつりと漏らす。
「・・・あいつが、あいつが帰ってきたからだ」
「え?な、なに言ってんだよ・・・」
「私知ってるわ、あの子。ウカムルバスの巣にいたこでしょ?」
「レンの親父さんが連れてきた子だ」
「あいつが、カインがウカムルバスを呼んだんじゃねぇのか?」
その場が一瞬にして凍りつく。
「カインがウカムルバスを呼んだからこの村に不幸が来ちまったんだ!」
そういったのは誰なのか、そんなことはどうでもいい。
その一言で広場は蜂の巣をつついた騒ぎとなった。
「そうだカインだ」
「あの子の所為よ」
「あいつさえ帰ってこなかったら」
「いや、13年前に殺しておけばよかったんだ」
「今なら怪我してるぞ、遅くはない」
「殺せ」
「殺せ!」
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