D×D Bypar | ナノ




23

「・・・カイン、泣け」
「・・・」

のろりと、カインはケビンに方に顔を向ける。その左目は濁っており、感情が麻痺を起してどうしていいかわからないようだった。

「取りあえず今のうちに泣いておけ。休む間もないぞ、ハンターは」
「・・・」

わしゃりと、頭部の傷に響かないようにカインの頭をなでてから、ケビンはカインから距離をとった。
一人、かつて父と慕った竜の骸の前でカインは静かに涙を流す。
それはやがて決壊したダムのように大粒の涙となり、雪に解けていく。

本当は声を上げて、みっともなく泣いてしまいたかった。骸に縋って、子供の様に泣いてしまいたかった。

しかし、潰れた喉から出るのはひきつった音だけで。縋りたい両腕は砕けて動いてくれはしないのだ。



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