13
「ん・・・」
「起きたか」
カインの視線が少し宙をさまよって、覗き込んでいたケビンの顔を捉える。どことなく険しいのはなんでだろう。少し離れたところに座っていたファイとレンも居心地が悪そうだった。
「うかむる、ばすは・・・」
「奥に行っちまったよ。それよかカイン、お前さんに聞きたいことがある」
上体を起こしたカインを未だに険しい顔でみているケビンにファイとレンはことの成り行きを見守るしかない。
しかし、ケビンの次の一言に、ファイとレンは言葉を失うことになる。
「お前、ウカムルバスに『とうさん』って言ったの、覚えてるよな?」
「っ!」
そして、カインはファイとレン以上にしゃべれなくなった。
「け、びん?何言ってるの?」
「そうだよ、なんかの間違いだろ?」
ファイとレンの疑問は、受け付けられなかった。
ケビンはカインだけしか見ていなかったし、カインもケビンしか、見れなかった。
「な、んのこ・・・」
「とぼけるな、間違いなく俺は聞いた。お前の目がウカムルバスを見ながら口がとうさんと動くのも見た」
「っ」
「後な、お前さんは気づいてないかもしれんが・・・」
ケビンの手が、カインの右頬をつかむ。親指は右目の眼球に触れそうだった。
「右目、色変わってるんだよ」
「っ!」
それが、決定打だった。
「ごまかしは利かないんだ。正直に教えてくれ・・・お前は、何なんだ?」
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