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一方その頃久々の自宅に、カインとレンは伸び伸びとくつろいでいるかと思ったらなんとなしに重たい空気が漂っていた。
口論したわけではない、カインが一方的に暗いのだ。その理由を聞いていいのかだめなのかの判断がつかないレンが悶々と悩み、部屋の内部の室内温度低下に拍車をかけていた。
「・・・なぁ」
「・・・」
耐え切れず話しかけてみたが無言のカインに少しだけ苛立ちながらレンはそのまま続けた。
「お前、今日変だぞ」
「・・・そう」
しかしカインから帰ってきた返事はそれだけでそれ以降はレンがどんな話題を振っても反応を返さない。
レンは観念して就寝の体制に入った。すると、先に寝る体制に入っていたカインがぼそ、と何か呟いた。
二人きりの、沈黙が完全に落ちた部屋だと言うのにそれでも聞こえないほどの小さな声で。
レンは聞きなおそうとして、やめた。もう何も答えてくれないだろうと思ったからだ。
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