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マシロの村は基本的に年がら年中雪が積もっており、それらが溶けることはない。
溶ける、というか雪が地面からなくなるのは『白い日』の崩竜の暴走時に起きる雪崩くらいだろう。
懐かしい、というには二人の顔はあまりにも険しかった。
カインはおそらくクエスト自体受けたくないといっていたのもあるのだろう。しかし、この男とくればカインほど深刻ではなかったようだった。
「・・・・・・・・・・・・・・」
「レン、どうした?」
「・・・お」
「お?」
「怒られる・・・!!」
突然竜車の上でがたがたと震えだしたレンは涙目でケビンを見上げる。突然のことにファイとケビンはぎょっとする。取り合えず宥めてはいるものの以前レンはがたがたと震えている。
「どうして怒られるんだ?」
「か、勝手に・・・村でて・・・こんなに早く帰るとは思わなかったんだよ・・・!ああああああばーちゃんに怒られる・・・!」
「・・・自業自得」
「だな」
どんな貴婦人だとケビンがつぶやくとレンが待ってましたと言わんばかりに叫びだした。最近その前兆がわかるようになってきたファイはあらかじめ耳を手で覆っていたが。
「とにかくおっかねえんだよ!口答えひとつにつき拳骨二回!いたずらしようものならその説教は実に翌日昼過ぎまでおわらねえ!言わせてもらうぜ、あれは、鬼だ!!!」
その鬼の居ぬ間に愚痴っているのだから本当に自業自得という言葉がよく似合う。
あああああとうめいているレンに、もう知らんとケビンがため息をつき、ファイは既に構う気もないらしくそっぽを向いていた。
しかし、カインだけはやはり下を俯いたまま下唇をかみ締めていたのだ。
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