D×D Bypar | ナノ




11

「ごめんね、ほんっとーにごめんね?」

大丈夫大丈夫というファイに、メルはひたすら謝り倒していた。
奇跡的に軽傷だったメルはトモに踏まれていたものの元気そうでファイは逆にほっとしていた。トモも右腕の骨折以外は軽度なもので、ひどくぼろぼろなのはファイ一人だった。少し恥ずかしい。

「でも、メル初めて三人で狩りしてすごく楽しかったよ!ね、トモ?」
「・・・まあ、悪くなかったんじゃない?」

そう言って笑うメルに、気まずそうにそっぽを向きながらトモが唇を尖らせる。
つられて小さくファイも笑う。そのファイの手を握ってメルは極上の笑みを浮かべたのだ。

「もうお別れしなきゃだけど・・・メル、またフライと狩り行きたいな!」
「トモも、フライとなら別にいってやらないこともないよ」
「・・・」

珍しく少しだけトモも笑いながらそういう。その台詞を合図にメルの手がファイの手から名残惜しげに離れて言った。子供体温なのだろう、少し暖かい。

「じゃあねフライ!元気でね!」
「死なないようにせいぜい気をつけてね、フライ」

そう言って二人は酒場を出て行った。
その二人の背中が雑踏にまぎれて消えるまでファイは見送った。完全に二人の姿が見えなくなってから、ファイは急に立ち上がる。









「私は、ファイだーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」









ファイの、もう二人には届かない絶叫がサウィナズス中に木霊したと言う。



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