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「ほら、ここがお前さん達の部屋だ」
ケビンにそう促され入った部屋で、二人は本日二度目の感嘆の声を上げる。
眼下に広がる海は夕暮れの太陽によってオレンジに染まり、金色に煌めいている。
しかし二人にはそんな幻想的な景色より部屋の内装に目を奪われていた。
白で統一されたその空間は広く、清潔感が漂っている。ある程度揃っている家具も小洒落た物ばかりだ。
今三人がいるのはケビンの推薦した宿舎だ。少し値の張ると言われた高層部は思いの外安かったにも関わらず、ケビンが更に値切りしたため、二人が割り勘で住むには破格の家賃となった。
それでいて家具が付いていたり広かったりなので、田舎で小屋育ちの二人が声を揃えて感動するのも仕方ない話だ。
「この街は平等意識が強いんでお前さん達でも上等なやつが借りれたが、他の街はハンターランクで住める建物も制限されてたりするんだよ」
とはケビン談で、カインは心の底からこの街にきてよかったと安堵していた。
「さて、荷物が整頓出来たら酒場に行くぞ。ハンター登録もしなくちゃならんしな」
「あ、忘れてた」
そう言ってカインが呆けた顔したので、レンとケビンは爆笑した。
いたたまれなくなったカインは、照れ隠しに財布を乱暴に引っ張り出した。
実はレンもど忘れしていたのだが、それはレンだけの内緒だ。
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