D×D Bypar | ナノ




7

悲鳴を上げながら溶岩の中へ沈んでいくアグナコトルを見送って、ファイは思わずその場にへたり込んだ。当然だ、背後からのメルの誤射と正面のアグナコトル、中距離地点にいたトモの暴走に全力で神経を持っていかれていたのだから。
よく見ると自身の体はあちこちぼろぼろでろくに回復していなかったのに気がついた。太刀もしかり、少しはこぼれしてしまっていた。

「・・・すまない、少し休憩させてもらう」
「いいよ、トモその間に掘り損ねた分の鉱石掘ってる」

落ち着いたらしいトモは再びピッケル片手に採掘ポイントへととことこ歩いていく。予断だが、小さいトモが行動すると、なんかこう、とことこだのてくてくだの幻聴が聞こえる気がする。気のせいだが。
おとなしくなったトモに安心していた所為か、ファイはもうひとつの不穏分子のことを忘れて回復薬に口をつけた。
そう、不穏分子を忘れていた。

「じゃあ、メルアゴちゃん追いかけてくるね」

一瞬、ファイは何を言われたのか理解できなかった。うん、と流しかけてすらいた。

「って、え?ちょ・・・」
「いってきまーす!」

そう言ってメルはブルファンゴ顔負けの勢いでアグナコトルのいるエリアに走っていった。
皆様覚えていらっしゃるだろうか、彼女はガンナーである。絶対的に不利、ということはないのだがアグナコトルは熱光線を吐き出す。そしてメルは

誤射の、達人でもあるのだ。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおい!!!!!!!!!!」

ファイは絶叫した。本編では絶対しないような絶叫を迸らせた。そして手にしていた回復薬を投げ捨てメルが走っていった後を追いかける。
その背後では、トモがレア物の鉱石を片手にご満悦だった。

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