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しんどいなぁ。
搾った果汁を飲みながらカインははぁとため息をついた。
ここ最近酷く疲れやすい。クシャルダオラ戦の傷はもう癒えているはずだがどこと無く身体が怠いのだ。揚句、右目が夜になるとずくりと痛みだす。それによる寝不足もカインの不調に拍車をかけていた。
「…療養で身体鈍ったかな」
こきこきと手首を捻っていると男女の言い争う声が聞こえてきた。だが、カインは我関せずを決め込んでいるらしく見向きもしない。
「だから!こっちのクエストのが面白そうじゃん!」
「こっちも言ってる、実力不足で死ぬのがオチだってば」
レンとファイだ。
彼等もあの一件から衝突を繰り返していた。それも些細な事から大事な事まで。
遠慮がなくなったと言う解釈が出来ればそれは善いことのはずなのだが狩猟にまでそれが出てしまっているため非常に宜しくない。
非常に宜しくないのはカインの精神面もだった。
二人が言い争う度胸中にどろりとした物が溢れそうになる。それを押さえ込もうとしてはどろどろと恨み言が生まれて消える。
悪循環。この一言に尽きる。
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