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そんなファイの呟きなどそら空しく火山の熱気に散らし、トモの戦斧は問答無用でアグナコトルを切り裂いていく。いつまでもぼんやりしている訳にも行かないのでファイも気を改めて太刀を握り締め、振り下ろす。そして、当然彼女の弾も狂喜したかの要に乱舞する。
「きゃあああああどいてどいてどいてええええ!」
「わ、わわわっ」
何故か鉄甲瑠弾を連射するメルの攻撃をわたわたと避けるファイに対して、トモはひょいひょいとかわし確実に、しかも無傷でアグナコトルにダメージを与えていく。
しかし、アグナコトルのタックルを避けようとした際、メルがトモに誤射を当てた。
当てて、しまった。
「あわわわわわ・・・・!!」
「・・・メル、トモ言ったよね」
「わわわわわ・・・!!」
「邪魔するな、って」
幽鬼揺らめくトモに、メルはもう既に腰を抜かすしかない。しかも背後にはアグナコトルが熱線を放つ体制に入っていた。
ファイが二人をかばおうとして、できなかった。
アグナコトルが熱線を吐き出す。狙いはトモだ。しかしゆらりと振り向いたトモはなんてことなさげにかわすとぎょろりとアグナコトルを睨み付ける。
そして凄まじい速さでアグナコトルに突っ込んでいったのだ。
「どいつもこいつも、トモの邪魔だから」
地を這うような台詞と共に、いつの間に変わったのか大剣を振り上げ−−−−−−−−−−−アグナコトルの嘴を砕いた。
・・・人間、何が原動力で奇跡を起こすかわからないな。
ファイが、生きていた中でもっとも感心した瞬間だった。
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