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はてさて火山にたどり着いた一行は、まずトモの鉱石が掘れるポイントがあるエリアを回っていた。
ある程度撮り尽くしてからアグナコトルを討伐しようという魂胆だ。
カン、カンとトモのピッケルが岩盤を叩く小気味良い音が響く。
「・・・君も掘るんだね」
「えへっ、つい」
一緒になってピッケルを振り上げるメルに、ファイがため息をついて、ぎょっとする。
そして、鉱石に夢中になっている二人の首根っこを引っつかみ勢い良く放り投げ自分も回避行動をとる。
その瞬間、三人のいたところに熱線がほとばしり、岩盤をえぐりあげたのだ。
「あああああ!!メルの鉱石達があああっ!」
「ちょっとフライ、痛いんだけど」
「それ私のことか!良いから得物を構えて!」
ファイの綴りが「FAY」だからか妙な呼び方をしてくるトモに律儀に突っ込みながら、ファイは太刀の切っ先を眼前の巨躯に向ける。
かちかちとくちばしを鳴らしながら三人に相対していたのは、討伐対象のアグナコトルだった。
じり、と臨戦態勢をとるファイだったが。
「うわっ!?」
「あ、ごめんっ!」
急に襲った衝撃に後ろを振り向くと、メルのライトボウガンの銃口が自分に向いていた。銃口から煙が出ているあたり、牽制をアグナコトルに取りたかったのだろうが残念ながらその弾はファイを直撃していた。
「気をつけて!死ぬよ!」
「う、うんっ!」
「・・・の」
「「?」」
幽鬼のような呻き声が二人の耳に入り振り替える。
がしゃんがしゃん、とトモが斧と大剣に意味もなく切り替えを行っていた。何をやっているんだ、その言葉は出てこない。なぜなら
「トモの邪魔、するな☆」
一瞬の般若のような形相から満面の笑みへと変えたトモが脇目も振らずにアグナコトルのくちばしに斧をたたきつけたからである。
ぎょっとするファイに構わずメルも銃口をアグナコトルに向けた。
「メルもメルも!どっかーん!」
「ちょ、あれは良いの!?」
「いいのいいの、トモ、自分の邪魔されるの嫌いだからいつもああなるの。だからフライちゃんも気にしないで!さー攻撃だよ!」
言うが早いか散弾をぶっ放し始めたメルと、奇跡のごとくその散弾に一発たりとも当たらないトモに、ファイはつぶやいた。
「・・・私はファイだ」
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