D×D Bypar | ナノ




27

突進された拍子に滑るクシャルダオラの巨体は宙に放り出される。その先は絶壁で、重力に逆らえず下に飲まれる。
しかし、クシャルダオラは落ちはしなかった。
千切れかけの右翼と翼膜に穴の開いた左翼を羽ばたかせ再び上空へあがる。そして、カインに、ティガレックスに、ファイとレンに、咆哮する。

まだ、やれるのか。

その可能性にその場の全員が息を飲む。しかし、クシャルダオラにそんな余力は残っていなかった。
忌々しげに一行を一瞥すると頂へ向かって飛び去る。

「に、げた・・・?」
「やった、のか・・・?」

呆然とするカインとレンに、ファイは苦しそうに、しかし少し笑って。

「クエストは、失敗だけど・・・生きてるよ」

その台詞に二人も小さく笑う。笑って−−−−−−−力尽きた。


吹雪く中あろうことか眠ってしまった三人に、少し困惑したティガレックスの情けない鳴き声が響いたという。


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