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ぎしりと痛む節々に絶えながらカインは立ち上がる。毒で動きが鈍ったとはいえそう簡単には攻撃はできそうに無い。
何か、もう一つ。
そう思ったカインの視界に、信じられない光景が映った。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
雄雄しい叫びを上げながら砲弾のように突っ込んできた山吹色に、さしものクシャルダオラもひるんだ。
少し脚を引きずりながらも飛び出してきたのはティガレックスだった。
ぼろぼろのクシャルダオラの右翼に噛付き、爪を立て、ともすれば己のそれが砕けてしまうほどの力でクシャルダオラを捕らえる。既に頭と前脚に赤い警戒色が浮かび上がっているのは見た瞬間に沸点に到達したのか、それとも細い血管が一気に切れてしまったのか定かではないが。
クシャルダオラは振り払おうと翼をはためかせる。鋭利な翼爪がティガレックスの額を傷つけるが、離さない。
それだけで、十分だった。
カインが全力でオオアギトを振りかぶる。
「っおおおおおおおおお・・・!」
そして、横一文字になぎ払う。
「ああああああああああああああああああああ!!!」
わずかに纏っていた風を切り裂いて、カインの一撃はクシャルダオラの右前脚を切り落とす。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
バランスが崩れ、苦痛に悶えるクシャルダオラにわずかに距離を取り全力で突進したティガレックスの報復の一撃が決まった。
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