D×D Bypar | ナノ




21

そんな二人に目もくれず、カインは大剣を構えたまま走った。
本来大剣とは、その重量ゆえに片手で持つことはおろか、走ることもままならない。
故に、行動するときは納刀するのが基本だ。
しかし、カインはそんなことは関係ないと言わんばかりに大剣を持ったまま、クシャルダオラに突っ込んでいった。

「っば・・・!」

馬鹿野郎、と叫ぼうとしたレンは、しかし声を失った。

あの暴風に纏われた巨体を、カインはあろうことか風ごと叩き切ったのだ。
クシャルダオラの左翼から、鮮血が散る。

目を見開くしかできない二人に、まるで見せ付けるかのように、カインは再び、今度は片手で大剣を振り回す。
しかし、同じ箇所への攻撃をクシャルダオラが許すはずも無く、先ほどより強く纏った風に吹き飛ばされる。しかし、雪の上への着地だったからか、カインにさほどダメージはない。
着地すると同時に前へ飛び出し、今度は右前脚へオオアギトを振り下ろす。
切っ先が、強引に風をねじ伏せる。

馬鹿な、馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な!
先ほどまで、突っ立っていただけではないか、先ほどの人間よりも惰弱な種の人間だったでは無いか。
なのに、なんだ。これは、一体なんだ!?
これではまるで−−−−−−−−−−−−−−−

クシャルダオラは、カインを屠るに足りない存在から、敵へと認識を変えた。正当法では適わないと思ったのだろう。一瞬上空へ飛翔し、しかしカインの背後へと滑空しながら風を纏い、突進する。
カインは後を見なかった。それ所か、クシャルダオラを見なかった。
見る必要は、無かった。くると、わかっているのだから。


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